関係型データ交換 (RDI: relational data interchange) は、関係モデルに準拠したデータを使って、 コンピュータ間でデータ交換を行う技術です。 この技術は、関係データベース (RDB: relational database) と、 電子データ交換 (EDI: electronic data interchange) の両方に関係します。
EDI は、ある観点からみれば、人間の会話の一部分を抜き出し、 それをコンピュータで扱えるように定型化したものといえます。 たとえば、「そのペットボトルの水を買います」という会話から、 「○○○ という商品を単価 ○○○ 円で ○○○ 本購入するので ○○○ へ届けてほしい」 のような意味に対応するデータを定義して、 買い手から売り手へ送信するデータとします。
2014 年現在では、EDI のデータ形式として、 COBOL のレコードに似た固定形式の階層型や、 自由形式の階層型である XML がよく使われています。 COBOL のレコードも XML もデータ構造依存性が高く、 人間の会話のように意味に軸があるわけではありません。 これらの技術は、データ構造の変更に対する障壁が高くなるため、 環境変化への対応能力を維持しにくくします。 もし、意味、つまり、データ解釈を保ったまま、 データ構造を変化させられる技術を採用すれば、 データ交換を行う双方で合意した過去の規格を変更しやすくなります。 「形態はつねに機能にしたがう」の実現が近づきます。
データ構造優位からデータ解釈優位に乗り換えるひとつの方法は、 階層形式の代わりに、関係形式を採用することです。 関係形式は、ひとつのデータ解釈を実現するために、 複数のデータ構造からひとつが選択されるため、 つねに、意味を軸として、データ構造に変化の余地が残されています。 同時に、データに関する計算体系が、数学の理論として整備されており、 基礎の構造が違っていても、求めるデータ解釈に合致するように 計算しなおせるようになっています。
関係形式でデータ交換を行う技術が RDI です。 これは、関係データベースと同じ理論にもとづいており、 関係データベース間のデータ交換であれば、 データベースとデータ交換が、連続する技術的基盤の上に乗ることになります。 RDI は、COBOL や XML がもつデータ構造依存性をやわらげ、 関係データベースと連携でき、人間の会話にもとづいた形式で、 データ交換が実現できます。